19.福田定一って知ってますか?
福田定一って、誰のことだか知ってますか? あの司馬遼太郎さんのデビュー時の名です。処女作は『サラリーマン金言集』というものを書いています。本人は気に入らなかったらしく、絶版状態のままです。この本の一部が『司馬遼太郎がゆく』(プレジデント社)に掲載されています。たしかに、よくない。あの名文家でも、やっちゃったなあー、って感じの文章です。
次回作の執筆のために現在、司馬さんの文章を研究しています。小説は本当にうまいんですが、エッセイはそれほどでもありません。エッセイの数も小説に負けず、ものすごい量を書いていますが、正直、ヘタだと思います。いや、司馬遼太郎をヘタって言い切ってしまうのは勇気がいりますが、本当のことなので仕方がありません。もう少し正確に言うと、よいエッセイはほぼなく、ほとんどのエッセイは私たちの手の届く範囲の文章です。だからこそ、司馬さんのエッセイは、私にとって「伝える」文章術の見本となるのです。